インフルエンザワクチンの予防接種は効果なしという説は本当なのか?
目次
インフルエンザワクチンの予防接種は効果なし!?
インフルエンザが大流行しているようですね。
国立感染症研究所の発表によれば、全国の医療機関(定点医療機関)から報告されたインフルエンザの患者数が1機関あたり52.35人と、1999年以降で過去最多になっているそうです。
発病すると自分も辛いし、周りにも迷惑がかかるので、できればインフルエンザにかかりたくないですよね。
我が家では予防対策として、毎年インフルエンザワクチンの予防接種を受けるようにしています。
しかし、この予防接種ですが、効果がないのでは?と言われる人も周りにいます。
ネットでも効果があるとかないとか、様々な情報が飛び交っています。
そこで、今回は私なりに、インフルエンザの予防接種は効果なしという説は本当なのか?について調べてみました。
インフルエンザワクチンの予防接種は効果なしという根拠
そもそも、インフルエンザの予防接種は効果なしという説が出回っているのは、群馬県前橋市の医師会が1987年に発表した「前橋レポート」の影響が少なくないようです。
正式名が「ワクチン非接種地域におけるインフルエンザ流行状況」でコチラに全文が掲載されていました。
http://www.kangaeroo.net/D-maebashi-F-view-no-23C.html
「前橋レポート」のできた経緯ですが、1979年に学校でインフルエンザの予防接種を受けた児童がけいれんを起こしたことをきっかけに、国に対して予防接種が原因であると訴えるも却下となり、前橋市の医師会が集団予防接種事業を1980年に中止しました。
一方で集団予防接種を続けていた医師会もあったため、インフルエンザ罹患率(りかんりつ)や予防接種の効果を判定するために、前橋市と隣接の安中市の小学生児童にはワクチンを接種せず、他の隣接の市である高崎市、桐生市、伊勢崎市の小学生児童には接種を続け、1984年と1985年の罹患率等を比較しました。
※罹患とは病気にかかることを言いますので、罹患率は病気にかかる率と考えていいです。
その結果をまとめ発表したのが、「前橋レポート」です。
出典:http://influenzareal.blogspot.jp
結果を見ると、「対象者総数」からみると、予防接種をしなかった前橋市:42.8%、安中市:45.6%、予防接種をした高崎市:40.1%、桐生市:43.0%、伊勢崎市:51.3%ですから、一見、予防接種をしないほうが、インフルエンザにかかったように見えます。
しかし、「対象者総数」には予防接種をしなかった人もいるわけで、比較するなら「非摂取群」と「一回摂取群」「二回摂取群」を比べるということになるでしょう。
「非摂取群」は予防接種をしなかった自治体の前橋市:42.8%、安中市:45.6%で「対象者総数」と同数すが、予防接種をした自治体の「非摂取群」は、高崎市:53.9%、桐生市:51.8%、伊勢崎市:58.4%です。
もともと高崎市、桐生市、伊勢崎市は前橋市や安中市と比べて、インフルエンザにかかった確率が高いんですね。
「一回摂取群」において罹患率は、高崎市:45.9%、桐生市:44.8%、伊勢崎市:52.7%と少し改善されます。
「二回摂取群」では、高崎市:38.3%、桐生市:39.2%、伊勢崎市:49.1%とさらに改善されます。
出典:http://influenzareal.blogspot.jp
さらに一年後のデータでの罹患率は、「非摂取群」前橋市:27.7%、安中市:22.2%となり、高崎市:30.9%、桐生市:32.2%、伊勢崎市:35.9%。
「一回摂取群」では、高崎市:30.4%、桐生市:23.5%、伊勢崎市:52.7%で伊勢崎市だけパーセンテージが上がっています。
しかし、「二回摂取群」では、高崎市:18.6%、桐生市:22.8%、伊勢崎市:23.1%とかなり改善されています。
特に高崎市は80.5%の児童が、インフルエンザワクチンを二回摂取していて、インフルエンザの発症が18.6%とかなり防げていることになります。
前橋市:27.7%、安中市:22.2%と高崎市:18.6%を比較した場合、インフルエンザワクチンの予防効果があると考えてもいいのではないでしょうか。
この「前橋レポート」ですが比較の仕方に問題があったようですね。
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インフルエンザワクチンの効果について厚生労働省の見解は?
厚生労働省はインフルエンザワクチンの効果について、どう考えているのでしょう?
厚生労働省の「インフルエンザQ&A」に記載したありましたので、転記しますね。
.19: ワクチンの効果、有効性について教えてください。
インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から体の中に入ってくることから始まります。体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはありません。
ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」といいます。インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。
国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があったとされています※1。「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告されています※2。「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が60%」とは、下記の状況が相当します。
・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
→ ワクチン有効率={(30-12)/30}×100=(1-0.4)×100=60%ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病率(リスク)が、「相対的に」60%減少しています。すなわち、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%(上記の例では30人のうち18人)は、ワクチンを接種していれば発病を防ぐことができた、ということになります。
現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされています。
出典:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
厚生労働省もやはり、ワクチンはインフルエンザの「感染」を完全に抑えることはできないが、「重症化」を予防するのに最も大きな効果があると言っています。
つまり、「感染」を効果がある程度はあるということですね。
医師1000人が選んだ「最も効果のある対策」とは?
また、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」が、参加する10万人の医師にアンケートを実施し、1,007人医師から回答を得ました。
中でも「【Q1】インフルエンザ予防に最も効果があると思う対策は?」という設問に対して次のような回答が得られています。
1位「手洗いをする」
・触れたものから口の粘膜にウイルスが移行する頻度が一番高いと思うから。(50代、アレルギー科)
・病院でも感染予防の第一は手洗い。(30代、一般内科)
・手指についたウイルスが、特に鼻をさわることで上咽頭、鼻腔粘膜から感染することがわかっているので。うがいは効果なし。マスクは、鼻や口を触る頻度が減るから次いで効果があります。(40代、一般内科)
・接触感染のほうが飛沫感染より頻度が高い。(30代、一般内科)2位「人混みに行かない」
・感染力が強いので感染しないようにするのが一番。毎年ワクチン打ったのにかかったという人がたくさんいる。(30代、一般内科)
・感染の機会が多ければ多いほど感染の可能性が上がるので、出歩かないのが一番だと思います。(40代、整形外科・スポーツ医学)
・通勤電車や職場、人込みなどで、他人から感染することが圧倒的に多いと思うから。(40代、神経内科)3位「睡眠・休養をとる」
・ウイルスに対抗するにはまずは体力。(50代、麻酔科)
・免疫力の維持とアップには睡眠と休息です。(50代、アレルギー科)
・インフルエンザに限らず、自分がウイルス感染するときは、しっかり休めていない時だから。(50代、一般内科)
・免疫力が低い人から罹患するから。(50代、皮膚科)4位「予防注射(ワクチン)をうつ」
・罹患する確率が減ることと、罹患しても重症化する確率が低くて済む。(40代、リハビリテーション科)
・ワクチンの効果は 医学的に立証されているからです。(50代、整形外科・スポーツ医学)
・確実に免疫を高めることができるから。(50代、アレルギー科)5位「加湿をする」
・加湿しているとウイルスが活発にならないため。(50代、一般内科)
・粘膜の乾燥はバリア機能を下げるから。(30代、耳鼻咽喉科)
・飛沫感染を防ぐ。(50代、一般内科)
出典:https://medpeer.co.jp/press/4940.html
1位は「手洗いをする」ですが、「予防注射(ワクチン)をうつ」も4位に入っています。
理由をまとめれは、「ワクチンの効果は 医学的に立証され、罹患する確率が減り、罹患しても重症化する確率が低く、確実に免疫を高めることができる」と言っています。
まとめ
調べてみた結果、やはり「インフルエンザの予防接種は効果なしという説」は間違いだと考えられます。
あ、それと、ついでにお伝えしますが、インフルエンザワクチンは副作用があって危険だという説もあるようです。
厚生労働省によれば、おおよそ一年に0~3人の方がワクチン接種により死亡している可能性があるそうです。
ワクチンは一年に約5000万人(回)接種されているということですので、死亡するのは0.000005%の確率ということになります。
ですから、そんなに心配したことはないですね。
インフルエンザにかかる確率のほうがうんと高いですから、予防接種したほうがいいでしょう。
私も毎年インフルエンザワクチンを接種してもらっていますが、インフルエンザにかかったと感じることもありませんし、高熱で寝込むことも何年もありません。
50代アラフィフともなれば、若い頃に比べて免疫力は確実に落ちていますから、インフルエンザワクチンを接種してもらうほうが無難ですよね。
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